代表的なジュース、果実、蔬菜缶詰について溶出スズの分布と、組織中に含まれるスズの洗滌による溶出ならびに2、3の酵素作用による溶離について検討し、次のことが明らかとなった。
1.ジュース缶詰では溶出スズの大部分が液汁中に存在し、セロファン膜に対して易透析性である。
2.果実缶詰では溶出スズは、いわゆる固形物部多く存在する。
3.果実蔬菜組織中のスズは、一部は不溶性スズとして存在する。この不溶性スズは酸性域で溶出し難く、弱アルカリ性域で多くが溶出する。
4.溶液中の溶出スズの一部は、天然物組織の存在で不溶性スズに 変換する。
- 著者
- 堀尾 嘉、岩本 喜伴、小林 祥子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1-11(1969)