市販バナナ生果中の硝酸塩含量の測定ならびにバナナピューレーを用い果汁含量(硝酸塩含量)を異にした試験缶詰を製造し、スズ異常溶出に及ぼす硝酸塩の影響を検討した。
1.市販されているバナナ生果中の硝酸塩含量は外観からの熟度に関係なく、硝酸性窒素3〜30ppmとバラツキが認められた。
2.原料中に多量の硝酸塩が含まれているとオレンジジュースならびにトマトジュース缶詰で認められたのと同様にバナナジュース缶詰においても製造後短期間にスズの異常溶出が認められた。
3.実缶試験の結果から硝酸性窒素1ppmに対するスズ溶出量は約30ppmであった。
4.バナナを缶詰原料として使用する場合には、原料中の硝酸塩含量に注意しなければならない。
- 著者
- 岩本 喜伴、宮崎 正則、前田 琇子、堀尾 嘉友
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,12-18(1969)