調合用水中の硝酸イオン除去を目的として脱陰イオン水を使用している缶詰工場製の市販ネクター缶詰でスズの異常溶出を起していることが判明したのでその原因を調査した。
1)脱陰イオン水をオレンジネクター缶詰の調合用水に使用しても、処理水中に硝酸イオンが含まれていなければスズの異常溶出は認められない。
2)調合用水中に塩素イオンが200ppm含まれていてもスズ溶出量には影響を与えなかった。
3)市販ネクター缶詰のスズ異常溶出原因は、調合用水にあやまって硝酸イオンを含む井水を使用したためか、または、陰イオン吸着能力を超過した陰イオン交換樹脂で水を処理したため吸着されずに残存した硝酸イオンによるものと推定される。
- 著者
- 岩本 喜伴、前田 琇子、堀尾 嘉友
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,19-24(1969)