水晒し中の有機酸ついては、まだ充分究明されていないので私達は筍缶詰の品質改良を目的とする研究の一環として、本報では水晒し中のpH、生菌数の変化、微生物の同定および有機酸について実験を行なったので報告する。
1.筍の水晒しを流水中及び静水申で行ない、その7日間のpHと生菌数の変化について調べた。
2.静永中ではpH4.1位まで低下したが、流水中ではpH4.8以下にはならなかった。
3.この実験で静水水晒しの筍から分離した微生物はA、B菌でA菌はLeuconostoc mesenteroidesであることを認めたが、B菌は同定できなかった。
4.A,B菌の生成する有機酸について調査し、筍が水晒し中にそれら成酸菌によってその有機酸組成のパターンが変化することを認めた。即ち水晒しによって乳酸、酢酸が急に増加するが、水晒しを延長すると次第に全体の酸が減少していくことを認めた。
- 著者
- 森 大蔵、池上 義昭、奥 正和、下田 吉夫、澤山 善二郎
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,110-117(1969)