1.アサリ、赤貝などの二枚貝にはコハク酸が非常に多く含まれている。一方他の魚介類にはコハク酸はあまり含まれていないが、この相違がコハク酸脱水素酵素の活性の強弱に起因するかどうかを明らかにするためにこの研究を行なった。
2.アサリ、赤貝のコハクの酸脱水素酵素はアワビのそれよりも活性を示すのがややおそい、しかしその活性の最高値はアワビのそれよりも高かった。
3.魚類のコハク酸脱水素酵素はアサリ、赤貝のそれに比べてやや早く活性を示したが、チダイ、スズキ、メバル、マアナゴの酵素活性はイシダイ、キューセン、コノシロのそれに比べて比較的おそく現われた。またその酵素活性の強さはコノシロ、イカナゴがやや強く、アイナメは最も強かった。しかし他の魚類の酵素活性は貝類のそれとあまり変らなかった。
4.他の魚介類のコハク酸脱水素酵素の活性はクルマエビが最も強く、アサリ、赤貝の酵素活性の約10倍であった。またコウイカ、イイダコの酵素活性も比較的強かった。しかしテナガダコの酵素活性は貝類のそれと殆んど変らなかった。
- 著者
- 長田 博光、後藤 郁子、大塚 滋
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,124-128(1969)