5′-ヌクレオチド水溶液にγ線を照射した場合のヌクレオチド相互の安定性及びイノシン酸水溶液を対象として照射線量の影響、溶液、pH、共存食品成分の影響などを調べた。
照射線量が高くなるに伴い5′-INPの残存率が低下し、とくにpHが酸性側に移行するに伴い安定性が悪くなった。
5′-IMP、5′-GMP、5′-AMP、5′-CMP、5′-UMPの5種のヌクレオチド標品の安定性を比較するとプリン系が不安定であった。
グルコース、蔗糖、カザミノ酸の共存で5′-IMPの安定性に対する保護作用を認めた。γ線を照射した5′-IMPの分解生成物は殆んどがヒポキサンチンでpH9、わずかにイノシンも生成された。これよりイノシン酸の主な分解経路は塩基部分のヒポキサンチンとリボースの結合が先ず切れ、殆んど同時に無機燐が現われることよりリボースと燐酸の結合も容易に切断されると考えられる。
- 著者
- 寺田 潤子、泰 圭子、毛利 威徳、橋田 度、志賀岩雄
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,221-230(1969)