33.原子吸光分光分析法による食品中の金属の定量に関する研究-Ⅲ
鉄の定量について

1.食品中の鉄を迅速に、しかも正確に定量する目的で原子吸光分光分析法を検討した。

2.原子吸光分光分析法による鉄の定量について基礎的な検討を行ない、その測定条件を定めた。

3.共存元素の影響について調べた結果、ケイ素、アルミニウム、リン、スズ、亜鉛、クロームがかなり鉄の吸光に影響したが、いずれも測定液中にストロンチウム2500ppmを添加することによ りこれらの干渉を抑制することができた。

4.ストロンチウムの添加によりノイズが大きくなり測定が困難に なるが、測定液中にエチルアルコール5ml添加し、測定前にバーナーヘッドを1%フィチン酸溶液に約10分間浸潰し、水洗することにより完全にノイズを抑制することができた。

5.添加回収試験を行なったが、ほぼ満足な結果を得た。

6.原子吸光分光分析法とO-フェナントロリン法との定量値の比 較を行なったがほぼ同値を得た。

7.原子吸光分光分析法による定量値の再現精度は同一試料液について6回測定した結果、カツオ、アサリの変動係数はそれぞれ1.63%、4.23%であった。

8.水産食品中の鉄の含量は1〜20mg%であり、小エビが最も少なく、貝類に比較的多く含まれていた。

著者
長田 博光、後藤 郁子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,259-266(1969)

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