11.各種プラスチック・フィルムで包装されたホウレン草色素の変色について -クロロフィルの安定度

ホウレン草の緑色色素は主としてクロロフィルであるが,保存中に光または熱により変色することがあるが,それには酸素を必要とするであろうし,また湿気に影響されるかも知れないと考えて通気性,透湿性の異なる数種類のフィルムを包装材料として選び,それで密封包装して保存試験を行った.
1.クロロフィルは真空暗所で保存すれば,分解は極めて僅かであるが,光を当てると急速に分解し,緑色が白色になってしまう.
2.湿気のあるところでは,暗所でも明所でも分解はやや速くなる.
3.湿気と酸素があるときは,分解はさらに促進される.
4.乾燥状態で暗所で100℃付近に短時間加熱されても大きくは分解しない.この時酸素が存在してても大きい影響は与えない.

著者
松井 悦造、清水 義弘
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,11,68-72(1974)