アサリ水煮缶詰の黒変現象は数10年前より知られていたが、発生頻度が低く重要視されるものではなかった。しかし昭和34年に至って、この黒変缶が九州地方に突発的に多量に発生したので日本缶詰検査協会、東洋製缶株式会社ならびに九州にある業界がこれを大きく取りあげ、神戸検査所及び製造業者より原因調査を依頼されたのでこの試験を実施した。
今回アサリ、ハマグリ水煮缶詰より分離された黒変原因は、Cl. nigrificans 極似の細菌である。
分離菌のアサリ肉汁培地での発育pHは5.0以下では発育不能で5.4以上では発育可能で、アサリ水煮缶詰の正常状態のpH5.8〜6.0で最も発育がよい。
- 著者
- 岡屋 忠治、宮田 晶子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,46-52(1959)