25.缶詰水産食品に5′-Ribonucleotidesの利用

5′-イノシン酸(5′-IMP)、5′-グァニル酸(5′-GMP)よりなる所謂核酸系調味料がひろく食品加工に応用されている。

缶詰野菜類に添加して効果のあることは既に前報で報告した。

本報では水産食品として、あさり、かき、ずわいがに、コンビーフ風鯨肉の缶詰に核酸系詭味料を添加した場合の旨味増強効果と調味料の成分5′-ヌクレオチドの安定性について報告する。

製造後6カ月間室温に貯蔵した場合の缶詰食品の風味を2点選択試験と順位法による官能検査で評価した。添加した5′-ヌクレオチドの安定性は5′-ヌクレオチダーゼを用いる酵素法によって測定した。

核酸系調味料は次の缶詰食品で顕著な効果を示した。即ちあさりに0.04あるいは0.08%のリボタイド(5′-IMPと5′-GMPの等量混合物)、ずわいがにに0.04あるいは0.08%のリボタイド、コンビーフ風鯨肉に0.1%の5′-IMP、0.1%の5′-GMPあるいは0.2%のリボタイドを添加した場合、明らかに旨味を増強した。

添加されたヌクレオチドは缶詰の加熱殺菌その後の貯蔵期間を通じてかなり安定であり、ずわいがに缶詰では28日後に77〜88%、あさり缶詰では189日後に52〜61%の残存率を示した。

著者
橋田 度、毛利 威徳、志賀 岩雄
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,182-195(1969)

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